a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

又、劇のお話

続いて今日も学芸会のことを書く。
5年生の学芸会では、全て生徒だけで企画し脚本も作り、配役も決めた。
取り上げた題材は、やっぱり少女小説で、川端康成の『美しき旅』。
5年生になって、組み替えが行われ男女共学になったので男の子も半分居た訳だが、男の子は女の子の言うままだった。
リーダーはYさん。4年生の時は隣の組で、白雪姫の王子様をやって素敵だった人。歌も絵も上手、スポーツ万能、その上美人でおしゃれで早熟な彼女にクラスの男の子の殆どがいかれてしまった。お父さんは開業医、お母さんは歌人で作家、絵に描いたような超マドンナだった。
私はすぐ仲良くなって彼女に影響された。姉にも教えてもらえない沢山のことを彼女を通じて知った。
おしゃれも大人っぽくて、マフラーを頭から被ってフードの様にしたり、(真知子巻き)有る時は「今、セーターを買ってあげると言われたらKちゃんだったら何色が良い?私は黄色のセーターが欲しいのよ。」と言う。私は黄色のセーターを着たひまわりのような彼女を想像出来したのだった。
そんなYさんにライバル意識を燃やしたのが薬局のおじょうさん、Tさん。
彼女とは前からの友達だったから、私は2人の狭間でもみくちゃにされていた。
さて、劇を作るのは、彼女達を含め主に6人程で進めて行った。先ず脚本を作って、鉄筆で原紙に書いて謄写版で刷る仕事も楽しかった。
配役はクラス全員でオーディションをして決めた。
ヒロインは目は開いているが盲目でしゃべられない少女だ。この役は2人候補が挙がったが私に決まった。皆の前で、演技をして見せて多数決で決めるのである。目を開けて盲目の振りをする演技は難しい。しゃべられないから台詞は無い。皆の前でしゃべるのが苦手な私にはぴったりだった。
ナレーションは誰、幕の開閉の責任者は誰君、と細かく決めた。担任のU先生は黙ってじっと楽しそうに見ていらっしゃっただけである。
この劇も大成功だった。他の組は『アンクルトムズキャビン』とか『泣いた赤鬼』とかまともな芝居なのに、我が組は思いもかけない素材を劇にしたので皆びっくりしたことだろう。
その代わり、しばらくは下級生のわんぱく共が教室を覗いて私を見つけ、「あきめくら〜あきめくら〜」と揶揄しに来て鬱陶しかった。