a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

「林の中のナポリ」を観る

忙しい1日だった。
コールアゼリアの友達の誘いで4人で昼ご飯を食べに行く。随分久しぶりの会食だ。昨年は私がマクロビの食事を徹底して実行していたし、Hさんも、Yちゃんも体調が悪かったから、本当に久しぶりでランチタイムを持てたのだ。普段はコーラスで会っていても、中々おしゃべり出来ないから時にはお茶をしたり、ランチタイムを共にしなくてはならないのだ。
コーラスは当番で忙しく、終わってからは民藝の例会でYちゃんとピロティホールに行く。夫が先に来ていた。
今日は山田太一の脚本で『林の中のナポリ』。演出は丹野郁弓。
夫婦(伊藤孝雄、樫山文枝)と娘とでペンションを経営している。名前が『林の中のナポリ』。夫の信一はどこか暗くて堅苦しいのでペンションは客が少なく、特に今は雪の降る寒い日々。だれも客の無い雪の夜、1人の老女(南風洋子)を娘が客として連れて来る。彼女はとてつもない大きな旅行鞄を提げている。
信一と老女はお互いの顔を見た途端、38年前にストックホルムで起こったある事件を思い出したのだった。偶然の再会なのである。
今、この老女は終の住処と決めた老人ホームに入る直前に、誰にも告げず旅に出て来た。
彼女は、住み慣れた家や持ち物を処分して身軽になり、いよいよ自分の人生の決着をつける時が来て、突然、「こんな終わり方は嫌だ」と放浪の旅に出るのだ。
取り上げているテーマは身に詰まされる深刻で切ない物だけど、舞台美術の明るい色彩、衣装や小道具のモダンなデザインと色調も良く、信一の不器用だがユーモラスな言動が楽しく笑わせる。脇役も明るく自然な動きで良い。やはりどこにでも有る人々をドラマにしてしまう脚本の良さなのだろう。
雨でむしむししていたが、良い芝居を見て来て気分の良い夜だった。