a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

ステージでの演奏

昨日のピアノの発表会に出演した人達の中に、私達のコーラス仲間のFさんが居た。
彼女は今65才位、ピアノが大好きで若い頃ピアノの稽古をして居て、5年程前から先生についてレッスンを受けていて、今日始めて発表会に出ることになった。
舞台の袖で待つ間、緊張の余り目が血走っているし、手も震えている。この所薬を飲んでも夜眠れなかったのだという。
「皆聴かんといて〜外へ行ってて〜」と叫んでいる。
他の出演者は若い人ばかりで、しかも音大生か受験準備段階の生徒さんか、難しい曲を暗譜で力任せに弾く人ばかり。
彼女は譜面台を置いてもらって、先生に横で譜めくりをして貰ってのステージだ。
衣装はコーラスのユニフォームで、白いスカートにスパンコールがいっぱい付いた白いブラウス。きらきらするイヤリング。
大柄な美女だからピアノを弾く姿はとても優雅で、ドビュッシーの『ベルガマスク組曲』よりプレリュードを弾いた。緊張している割にはゆったりと余りミスも感じず、大人の貫禄を漂わせて素晴らしいステージだった。
ショパンの『黒鍵』とかベートーヴェンの『熱情』リストの『超絶技巧練習曲』等々、力いっぱい弾く演奏も凄いけれど、テクニックだけで音楽は無いに等しい。特にばんばん弾いていて、途中で突然間違った揚げ句何度か弾き直したりすると、聴いている方もがっかりして、楽しんで聴いていられない。
昨日はFさんのことを見直し、ちょっぴり羨ましく思ったのだった。