a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

つづき

「ぎんさま」のつづき。
彼女には5人子供が居て、長男は私の夫の父、すなわちDollyちゃんの祖父である。
末っこが男の子で真ん中3人は娘であった。

長女は美人で聡明。多分自慢の娘で有ったに違いない。
次女は少し我がままだったと聞く。
3女は生涯独身だった。寂しくなるからと「ぎんさま」が手放すのを嫌がった様だ。
長男は呉服を扱う仕事は無理だったので、中学校を卒業した後商いを覚えるために大阪に修行に出た。
残った家族は夫が居ないし、娘3人と好き放題に暮らして居た事だろう。
お琴や三味線の稽古。長女などはヴァイオリンの稽古もしていた。
おさらい会の日になると3人は振り袖を着て出掛ける。家に人力車が迎えに来て、華やかで近所の人々が「Aさんとこは豪勢なことだなも」と見物に来たらしい。
これは大正の頃の話で、世間では不況の波が押し寄せているのに、何とも呑気な母娘達なのであった。

これらの話は生涯独身だった3女の晩年を世話したとき、繰り返し聞かされた話なのである。つづく。
写真は晩年の「ぎんさま」