庭に出たら何かいい気分・・・。
「これは、ひょっとして?」
くんくん神経を鼻に集中すると、ほのかな香りが漂っている。
「やっぱり」
モクセイが蕾を開いてるのだ。
大好きな秋の初めの香り。
木犀は地味で、よく見ないと花はどこに咲いているか分からない。
葉陰にそっと咲いているのだ。
蕾は今開こうとしているところ・・・なのにこんな芳しい香りで「ここよ」とアピールしている。
愛いやつ。
雨が降り出して気温が下がってきた。
りんごのジャムを煮る。
庭で採れたブラックベリーやイチジクのジャムを作って食べて来た。
これからは林檎が美味しい季節。
果物は全部好きだけれど、一番好きなのはやっぱり林檎。
梨も美味しい。
子供の頃、梨の皮を剥きながら父が教えてくれた言葉を思い出す。
「瓜は大名に剥かせ、梨は乞食に剥かせ」
瓜、メロンじゃなくてマクワウリ(まっかといっていた)、昔は夏の果物としてよく食べた。
父が裏庭の菜園で収穫したことも有った。
黄色や青いマクワウリは皮の部分は美味しくないから贅沢に分厚く剥け、ということだろうか。
だから梨は丁寧に薄く剥かないと勿体ない、ということである。
しかも途中で切れることなく細長く剥くこと。
こんな家庭的なしつけは母じゃなくて父だったということが面白い。
父は家庭的で優しい人だったから食物にまつわる思い出が多い。