「マダラちゃん」は野良猫だった。
10年前夫が入院していて、私は多忙で庭に出ることが少なくなっていた頃、野良猫親子が庭を遊び場にしてくれた。4匹の子猫のうち雌猫は毛並みが斑なので「マダラちゃん」と名付けていた。
いつの間にか姿を見なくなったが、ある日、我が家の隣が空き家だったので、裏庭に設置されていた物置の下で子猫を3匹産んでいた。
子猫は拾い上げて養子に出した子もあったし、逃げてどこかへ行ってしまった子もあったけれど、マダラちゃんはその後もずっと隣で住んでいた。
罠を仕掛けて捕まえて避妊手術を受けさせたので、以後地域猫としてのんきに自由に生きていた。
4年前に隣の家が売れて、新しい家が出来て若い家族が引っ越してきた。
マダラちゃんは居場所が無くなってどこかへ行ってしまった。
昨日近所で新聞を被せて猫が横たわっていたとの情報が入って、どうもマダラちゃんだったようである。側で数人の子供達が泣いていたらしい。
交通事故だったと思われる。
死んだと聞いてやっぱり悲しい。
在りし日のマダラちゃん。