朝から雨が降っていた。
起きてすぐ床暖房のスイッチを入れてエアコンを付けておく。
パジャマを着替えて、少し温まった頃に台所に来ると、勝手口で野良猫の鳴き声がした。
聞きなれた「マダラちゃん」の声。
マダラちゃんは我が家のクルミと同じ頃の生まれだから10歳になる。
野良猫で生まれて、隣の物置で子猫を3匹産んだ。
と、これは何度も何度もブログで書いた。
避妊手術を施し、子猫も捕まえて養子に出して、そのあと勝手口で朝晩の餌をそっと与えてきた。
幸い勝手口の向こうは空き家でうるさく咎める人は無かった。
月日が経って、隣の家は売却され新しい家が建って若い夫婦が入居して小さい子供が2人産まれた。
ご主人がある日「野良猫の餌をやらないでほしい」と訴えてきた。見られたのだ〜。
「庭に糞をするし、子供たちが庭で遊ぶので不潔だ」とおっしゃる。
私はこの事を胸 に収めてよく考えてからマダラちゃんと別れる決心をした(涙)。
勝手口の扉の桟に登れないようにプラスチックの板を張って、鳴き声が聞こえても心を鬼にして無視し続けた。
辛かったけど、しばらくすると来なくなった。
マダラちゃんには他にも可愛がって下さるスポンサーがあることを知っていたから心配はない。世の中には野良猫を可愛がっている人も多い。
これで良かったのだと思った。
ところが2年ほど前に娘がマダラちゃんが死んだという情報を得てきた。
交通事故に遭ったみたいで、新聞紙を被せて焦げ茶色のシマシマの尻尾だけが見えていて、横で小学生が数人泣いていたと言うのだ。
次に見たときはもう無かったというから、保健所かどこかへ運んだのだな、と思っていた。
ところがどっこい、マダラちゃんは生きていた。
東側のお家の屋根の上で日向ぼっこをしている斑の毛並みの猫を発見。
「あれ~マダラちゃんとちゃう?」とよく見ると桜耳だし、マダラちゃんに間違いなく、生きてたんや~~(^ ^)
と言っても餌をねだりにくるではなく、故郷を懐かしく覗きに来たのかもしれない。
あれから又時が経った。
今朝の雨の中、私が給湯器を動かしたので、私が起きたことを知ったマダラちゃんが「にゃ~」と餌の催促をしたのだ。
「マダラちゃん、元気そうやんか~」と言うと「にゃ~」と挨拶してくれた。
猫は9回生まれ変わるって言われるけれど、柔軟で丈夫な生き物なのだ。
世の中には猫が嫌い!という人は大勢いる。
それを批判することは出来ない。
M子姉ちゃんは子供の頃から猫や犬が嫌い。
最近になって「なんで猫が嫌いやの?」と聞くと「毛が生えてるのが嫌や」と言った。
世間では「ふわふわ」だの「もふもふ」だのと癒しの対象になって大もてなのに・・・姉のことや世間の猫嫌いの人を非難できない。
岩合光昭さんの「世界ねこ歩き」を見ていると、どこの国でも野良猫はのびのびして自由に歩いている。餌を与える人も堂々とやっている。
我が家の辺りは住宅地で、野良猫はおどおどしている。
人を見かけると側溝に潜り込んで隠れる。
この違いは何なのだろう。
野良猫に餌をやる人を目の敵にする人もいるし、そうかと思えば捕らえて避妊手術をさせている人や子猫を拾って飼っている人も近所で何人もいる。
野良猫に寛容になれる社会になってほしいと思うのだけれど。
いつも室外機の上にいたマダラちゃん。3キロ余りの小さな猫ちゃん。
餌は上げないけど、時々顔を見せにおいで。