文楽の人形遣いの吉田玉男さんが亡くなられた。87才だった。
私は結婚するまで、良く文楽を見に行った。吉田玉男のファンだったのだ。彼は背がすらっと高く端正な顔立ちで、人形を使っている彼は本当に素敵だった。人形よりも彼の姿に目が行ったものだった。
あの頃は何故かすごく年上の男性が素敵に思えたが、それは私があの頃ベストセラーになった原田康子の小説『挽歌』に被れていたからでもある。妻帯者でもある中年男性桜木さんに恋する主人公の様に、ぐんと年上の男性に魅力を感じていた。
何年も経って再び文楽を見に行って吉田玉男さんを見て、年をとっても品の有る人形遣いで、昔と変わらず良いなと感動したものだ。
テレビなどで話をしてはるのをたまたま見ると、純粋の大阪弁でしゃべってはったのも嬉しかった。
理性的で気品の有る人、浪速の日本の伝統文化を支えて繁栄させて来た、吉田玉男さんの死を心から悼む。
今夜観た映画は『アドルフ(イザベル・アジャーニの惑い)』。
フランス映画。エレノール(イザベル・アジャーニ)は伯爵の囲われもので、2人の子供もいて贅沢な暮らしをしている。
彼女に恋するのが年がぐんと若いアドルフ(スタニスラス・メラール)。アドルフに恋したエレノールは、伯爵や子供と別れ、故郷のポーランドに帰る。雪のポーランドの風景が美しい。それと衣装やアンティークな装飾品、贅沢な部屋のインテリアも見応えが有った。
スタニスラス・メラールは立ち姿がとても格好よい。
2人の恋のやり取りは手紙だ。始めから終わりまで、美しい筆跡の手紙が2人の恋の行方を決定する。
イザベル・アジャーニは美しくて独特の魅力が有る。