a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

牛蒡の料理

駅の構内に八百屋さんが有る。本来は花やさんだった筈だが、だんだんよく売れる野菜や果物が増え始めて、しっかり店の中を見ないと花屋さんである事は解らない。
ここで買う牛蒡は少し高いけれど美味しいので、良く買う。夫はうまい牛蒡やなと好きだったのである。
久しぶりに病院の帰りバスの時間まで買物をした。後は菊菜なども。
牛蒡は金目鯛の煮付けの汁で炊いた。魚の煮汁が良く滲んで柔らかくて美味しく炊けた。食べながら夫に食べさせて上げたいと思った。
私の料理は、10年くらい前まで夫とよく飲みに行った北新地の小料理屋で憶えたものが多い。
板前のF君は、カウンターの向こうで手際良く魚を卸して刺身にしたり焼いたり煮付けにしたりと料理して食べさせてくれた。
コンサートや芝居がはねてから、良く行った。
夫は始めて行った時、私を紹介するのが照れくさいので、私の事を『隣の奥さん』という事にしていて、以後ずっと隣の奥さんを演じていたのだった。
F君もママも承知の上で、皆で演技しまくって実に楽しいひと時だったのである。
私達も元気が無くなって、芝居が終わったらさっさと家に帰るようになったし、その内店も畳んでしまったようだった。
夫が3年前に軽い脳梗塞を患ってからは、お酒を飲むことも無くなり、美味しいお酒を飲みながら美味しい料理を食べる何てことはすっかり無くなってしまったが、時々料理をしてはF君の味を思い出し、流動食も味わえなくなった夫にもう一度食べさせて上げたいと思うのである。