a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

戦時中の食事は

a-doll2009-10-13

食事をしながら、写真立てに入っている戦争中の私の実家の家族写真を見て娘がふと言った。
「あの写真の頃どんな食事をしていたん?」。
昭和20年の早春、兄がいよいよ徴兵に取られるかも知れない。いつ空襲で命が無くなるかも知れない。家族揃っている間に写真を残しておこうと、夜写真屋さんに出張してもらって撮った写真である。
全員正装だ。妹のストッキングの膝に継ぎが当たっていようと、この日出来た精一杯の服装であったに違いが無い。
雨戸を閉め切って外に灯りが漏れないようにして、マグネシュウムをバッと焚いて写真に収まったのだった。
さて、この日の夕食はどんなメニューだったのだろう。豆の沢山入ったご飯か麦ご飯か、それとももう既に雑炊だったかも知れない。雑炊にはお菜っ葉と出しじゃこ位しか入ってなかっただろう。後は庭で栽培した野菜の煮付けとか、お漬け物とか。両親はこれだけの家族を飢えささない為に大変だっただろうと想像する。
甘いお菓子とかチョコレート等は食べていないから味も知らなかった。極く幼い時に食べたバナナの味、牛乳とイチゴジャムの入ったパンとかは覚えていて「食べたいな・・・」と思ったけれどない物は仕方が無い。「欲しがりません勝つまでは」だったのだから。
これを書きつつ写真を見て思った。
全員この日散髪やさんに行ったようだ。兄は丸刈り、私と妹とH子姉ちゃんはワカメちゃんカット、M子姉ちゃんはくくった髪を切りそろえてある。C子姉はサザエさんスタイル。
「武士は食わねど高楊枝」で、ひもじいみすぼらしい様子は写真に残さない覚悟の様な物が見える。
「皆、しゃんとしなはれや。お手々もちゃんと揃えて。」と母の声が聞こえそうだ。
やっぱり悲壮な写真なのだ。