a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

画集を観る

今から20年程前、実家の両親が亡くなって、私たちが育った家は誰も住まなくなってしまった。
私たち姉妹が掃除をしに何日か通った。C子姉ちゃん、H子姉ちゃん、S義兄さんも私の夫も手伝ってくれた。
父の蔵書も整理したが、その中に世界の美術館全集24巻があった。比較的新しくて余りページをめくった形跡もない。
父は全集を買ったものの、事業に忙しく西洋絵画を観る時間の余裕は無かったのだろう。
いつの日か暇ができたら観ようと思っていたのだろうか。
それは兎も角、その時、誰も欲しいと言わなかったので、私が貰って我が家の本箱に納まったのでだった。
とは言え、私も忙しい日々を過ごしていたから、ゆっくり全集を眺める時間もなく、新品のまま古くなってしまっていた。
この2週間は娘が旅行中で、独りぼっちで何となく時間を持て余している。
そこで、本棚から重い美術書を引きずり出してページを捲ってみた。
上質の紙に印刷された、名画の数々を眺めているだけで、落ち着いて豊かな気分になって来る。古い本特有の懐かしいインクの匂いがそうさせるのか。
両親と共に暮らした家の洋館のへやで眺めているような錯覚に落ち入る。
父が私にくれた素晴らしい時間。
久しぶりに父を思い出した。