a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

「アメージンググレイス」

秀作である。
18世紀、イギリスで、奴隷制廃止の為に活躍した政治家、ウイリアム・ウイルバーフォースの人生をえがいた映画。
彼に影響を与えた牧師ジョン・ニュートンが,奴隷船の船長だった時に作詞した賛美歌「アメージンググレイス」が映画の題に使われている。

裕福な商人の家に生まれたウイリアム・ウイルバーフォースは、心優しい人であった。広い屋敷には兎や犬が走り回っている。
一番好きな事は庭の芝の上に寝転んで、たんぽぽや蜘蛛の巣をみること。
その彼が、奴隷船の実体を見る。神は人を平等に造られたのに、人間として扱われず、アフリカでは美しいアフリカの名を持って幸せな生活をしていた黒人を誘拐し、狭い船内に首と手足に鉄製の鎖を付けで運ぶ。嵐になると荷を減らす為だと、病気の奴隷を海に捨てた。
航海が終ると、生きているのは半分にも満たない惨さ。その後焼きごてで刻印を押される。
信仰深い彼は、神に仕えるか、政治で世の中を変えるか、選択に迷った結果、奴隷廃止運動に心血を注ぐことにしたのだった。

イギリスでの主な収入源であった奴隷貿易は、中々廃止にはならなかった。
1797年ウイルバーが提出した法案は妨害され却下となり、心身を病む。お腹を抱えて転げ回っているから胃潰瘍だろうか。
アヘンチンキという薬を常用している。
やがて18才若い聡明な妻を得て立ち直り、再び活動を始める。
妻バーバラは良き理解者で、絶望している彼に「陽はまた昇る」と励ます。結婚式の賛美歌には「アメージンググレイス」を選んだ。

Amazing grace ! How sweet the sound
that saved a wretch like me.
I once was lost but now I'm found,
was blind but now I see.

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