朝晩は冷えるけれど日中は晴れて暖か。
暖かい間に庭の掃除をする。
金柑が美味しそうな色になって来た。
わが母の記 4 つづき
初めてのクリスマス
戦争が終わってしばらくした12月のある日。
母は近所の弁護士さんのお宅でクリスマスの子供会があることを聞いてきた。
「誰でも参加してください」
とのことなので、妹と私は行くことになった。
クリスマスって何やろ?と思いながら・・・。
村には教会がなかった。
クリスチャンであるW弁護士さんのお家は、田舎の村には珍しい洋風の大きな家で、広い庭には美しいガラス張りの大きな温室が有った。
「今日はお招きくださってありがとうございます」ときちんとご挨拶するのやで、と母に言われて妹と手をつないで出かけた。
広いお部屋には沢山の人が居て、私は誰にご挨拶をしたらええのやろ?とまごまごしていたが、そのうちオルガンが鳴って歌が聴こえた。
初めて聴いた讃美歌だった。
そして「劇」を観た。
背の高い男の人が白いひげをつけて出てきた。
怖そうな人だと思ったけれどWさんの息子さんが演じているのだ。
「クリスマス・キャロル」という物語だった。
どけちなお爺さんスクルージが、優しい人になるというクリスマスの奇跡のお話だった。
当時はまだ大人も子供もクリスマスは知らなかった。
ましてやイエス・キリストの誕生日だなんて誰も知らなかった。
W弁護士さんはその後、時々道で出会ったけれどステッキを持って歩く小柄なお爺さんだと思ったが、それは私が10才の子供だったからで、多分50代の紳士だったと思われる。
これは今年の金剛バプテストキリスト教会の「こどもクリスマス会」の案内。
もし今母が居てこれを見たら、絶対に「妹と一緒に行っといで」と言うだろう。