風が少し冷たいけれど、歩くのにちょうど良い。
駅前の銀行に行く。
器械の前は誰も並んでいなくて、私は徐にビニールの使い捨て手袋を右手に嵌めて操作する。
請求書を差し込む。
器械が読み取ってくれて、電話番号を入力、銀行のカードで支払うをタッチ。
暗証番号を入力。
確認ボタン。でおしまい。印刷した領収書が出てきた。
2件分済まして、ソファーに座って手に持った書類をバックに入れて銀行を出る。
「ハッ」と財布を見たら「カードは?」器械から取り忘れていた。
時遅し・・・カードは銀行の中へ収納され、私はマイナンバーカードを提出して本人確認をされた。
カードを留置所から受けだした。
無事に戻ってやれやれ。
やっぱり、とろくさい高齢者に間違いがない。
今日はもう一つ悲しいショッキングな出来事があった。
お向かいの奥様とは30年来の親しい間柄で、といってベタベタしたお付き合いではなく、シーズンに柿を頂いたり、私も栗や家のすだちを持って行ったりで、時には3ヶ月ぐらい顔を合わすこともなく過ごすことは良くあった。
この所会わなくて、ご主人が一人でスーパーにお買い物をなさっているのにばったりあったのがもう3ヶ月ぐらい前だった。
「奥様のお加減悪いのですか?」いつも夫婦一緒だから。
「ええ、まあまです」
ご主人は疲れた顔だったので、もしかしたら奥様はかなり悪いのでは・・・。
入院なさったのかなと案じていた。
今日、家の前で次男さんに出会ったので聞いたら、もうすでに亡くなっておられた。
「家族葬」というのは簡素で良い。
でも、仲よかった近隣の人が亡くなって何日も知らされないというのはどうだろう。
私は毎日案じていたのだった。
以前なら回覧板で「至急」と赤く書かれ通夜と葬儀の時刻場所の案内が回った。
最近は**さんが何日亡くなられました。
家族で葬儀は終えられました。というのが回っていた。
今はそれも無い。
遺族から知らせてもらう他は無いのだ。
ご主人は私と同年輩。
今日お悔やみを申し上げた。
お寂しいだろう。明日お花を届けようと思う。
金魚草。
草花は私の心に寄り添ってくれる。