「密」に咲くうちのサツキ。
暑くなったけれど風が爽やか。
小さな保冷剤をハンカチで包んで首に巻いて行く。
それでも教会に到着すると汗が吹き出て、髪はびちゃびちゃになった。
入院していたYさんがニコニコ顔で出席した。
帰る時に、椅子に貼ってあるテープを剥がしている。
「こんなとこへテープ貼って・・・」と言いながら。
密に座らないように貼ってあるテープなんだ。
「ちょっとちょっと剥がしたらあかん」。
Yさんは教会が閉まっていた時以来初めて来たのだった。
今日もYさんを交えて4人で喋りながら歩いて帰る。
誰かが言った。
「さすがYさんは子供のころから苦労して頑張ってきたから、へこたれへんね。」
そう、Yさんは終戦後、満州から命からがら引き上げて来たのだ。
お父さんの背中に負ぶさって大きな河を渡ったという思い出話に感動する。
死の直前まで行ってきた人は強い。
お父さんは帰国後すぐ亡くなりはったと言うし、苦労の連続だった。
無理しないで夏を乗り越えてね、Yさん。