私の好きな映画百選 no.25 となりのトトロ
金曜ロードショーで放映したので、録画で見た。
コマーシャルを飛ばせるので録画で観るのが良い。
スタジオジブリの宮崎駿のアニメは大好きでほとんど見ているが、なんと言ってもトトロが一番好き。
1988年公開。
何度も観たくなって、その度に身体全体に温かいものが溢れてくる作品である。
時代は昭和28年に設定されていて、戦後の荒廃がようやく落ち着いて人々の気持ちに余裕ができた頃か、村人が優しいのである。
サツキと妹のメイはお父さんと一緒に大きな森の近くの古い家に引っ越してくる。
引っ越しも三輪トラックに家具を括り付けて昔風だ。
サツキとメイはとびきり元気な子供である。
洋風の屋根がある家。
長く人が住んでいないから雨戸を開けると、ばらばらっと「まっくろくろすけ」が走ってゆく。
メイちゃんがぱちっと手で叩いて「捕まえた~」と言ったら手は真っ黒の煤だらけ。
「ススワタリ」だ、と管理している近所のお婆ちゃんが教えてくれた、
井戸水は手押しポンプで組み上げる。
最初にサツキが川から水を汲んできてポンプにかけてからハンドルをガチャガチャ押したら蛇口から水が奔り出る。
こんな光景は私の子供の頃と同じで懐かしい。
バケツで注いだ水は誘い水って言ったかな?
ガチャガチャと手押しハンドルで水をタライに組んで、しゃがんで洗濯をしたのだった。
洗濯機を使い出したのは、昭和30年になってからだから、タライで洗って手で絞って竿だけに干したのだ。
この映画ではお父さんと3人で洗濯物を足で踏んで楽しそうに洗っていたけれど。
二人の姉妹のお母さんがサナトリウムで療養中で、サツキは健気に留守を守っている。
そんな姉妹にご褒美に現れて仲良くなったトトロ。
トトロの登場の場面は衝撃的だ。
トトロはでかい!
メイちゃんだから「ト、ト、ロ」なんて言って仲良くなれるけれど、グァーと口を開けて叫ばれたら大人ならびっくりして腰を抜かすだろう。
だから大人には見えないのだ。
私の好きな登場人物はお婆ちゃん。
どんぐりめ目と大きな体の持ち主だけど優しい。
声は北林谷栄。数ある北林さんの舞台や吹き替えの中でも秀逸だと思う。
サツキが傘を返しに来た夕方、座敷の奥から寝巻き姿でぼーっと出てきて「誰か来たんけ~」と一言。
痺れる~
田植えが済んで青々と水を湛えた田畑が広がっている。
その上をサツキとメイはトトロと一緒に飛ぶ。
風が起こって青田が揺れる。
これも素敵な場面。
畑でお婆ちゃんにとうもろこしやきゅうりを収穫してもらう場面も良い。
夜になると蚊帳を釣って雨戸は一枚開け放って、お父さんは蚊取り線香を持って行く。
蚊帳を通してみる外の風景は涼しげ。
懐かしい感覚を呼び起こす。
戦後は肺結核になる人が多く、主に栄養不足から来たと思うが、近所のM子姉ちゃんの家庭教師をしてくれていたお兄ちゃんも、戦地から無事に帰還したけれど、肺結核で間も無く死んでしまった。
C子姉ちゃんは肺浸潤の疑いで、淡路島へ転地療養をしたけれど、美味しい物をたっぷり食べてこれはすっかり良くなって帰って来た。
98歳まで生きたのだった。
サツキちゃん姉妹のお母さんもきっと元気になって元の生活に戻れるだろう。
とうもろこしを食べて。
サツキちゃんは直向きに走る。髪を靡かせ、スカートを翻して。
メイちゃんもとうもろこしを抱えて走る。
かわいい大好きなアニメ。