a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

プッチーニ三部作

昨日のオペラはプッチーニ作曲の『三部作』。一幕物のオペラ『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニスキッキ』の作品を一挙に上演する。
指揮「牧村邦彦」オーケストラ「センチュリー交響楽団」関西歌劇団定期演奏会公演である。
暗い物語の『外套』清らかな『修道女アンジェリカ』面白く明るい『ジャンニスキッキ』。何のつながりも無い物語を続けて上演する珍しいオペラ。
私達のコーラスの熱心な指導者である湯浅契先生がアンジェリカを演じらたので、『修道女アンジェリカ』に話を絞る。
舞台は花咲く5月の修道院。厳しい規律の中にも清らかな修道女達の美しい歌声や笑い声が聞こえる美しい場面である。
その中の1人アンジェリカは高貴な生まれながら悲しみの中で生きている。7年も待っているが何の便りもないのである。
そこに叔母である公爵夫人が登場。
ここで、アンジェリカの両親は亡くなっていて、彼女は未婚のまま子供を産み家名を汚したと、子供を置いて修道院に追いやられたという事情が解る。
彼女はアンジェリカに財産放棄の書類にサインを迫り、彼女が逢いたがって居た1人息子の消息を聞くと、公爵夫人は冷たく「あの子は2年前に死にました」と告げる。
驚き嘆きながら歌うアリア『Senza mamma』(母無しで)。
アンジェリカは絶望のあまり丹誠込めて栽培していた薬草を煎じて飲んでしまう。毒薬なのである。
キリスト教において自殺は大罪である。このままでは天国で息子に再会出来ない。彼女は後悔し神に謝り祈り続けると、奇跡が起こり許されて天国に導かれて行くというはなし。
最後は十字架のシルエットの中に息絶えると言う演出だった。
契先生は、今ご主人が大動脈破裂で入院中で、看護をしながら舞台に立たれた。
健康な方だけれど、心労も有るだろうしいつもの美しい声が出るだろうかと心配したけれど、流石はプロだ。激情と絶望と嘆きを込めて有名なアリア『Senza mamma』を歌い終わって舞台に倒れ泣き伏したとき私も涙が溢れた。特に高音でピアニッシモで歌う箇所はすばらしかった。
初めて聴いたオペラだけれど、女性(声)ばかりの登場人物というのも珍しい。
くたびれたけれど堪能した。