a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

ピアノ買うて〜

またまた「カーネーション」より。
娘3人が声を揃えて「ピアノ買って〜」と母親糸子に頼んでいた。
可笑しくて笑う。
M子姉は、音楽学校を受けるためには、家でもピアノで練習する必要があった。
今なら当たり前のことだけれど、戦後2年位しか経ってない頃だから、ピアノは売ってない。家には足踏み式オルガンが有るだけだから、姉は学校の音楽室のピアノで練習をして居たのだった。
そこで毎日、ちゃぶ台に座っての食事のときに、父に向かって「お父さん、ピアノ買うて〜」を連呼していたのだ。
父は「よっしゃ、買うたげます。こんな大きさでええか?」と玩具のピアノの大きさを手で示した。
まるで、チャーリーブラウンのライナスが丸くなって弾いている図である。
姉は本気でかんかんに怒っていたが、ある日家にピアノが来た。
知り合いの焼け残った蔵から、譲ってもらったものだった。
今、そのピアノは兄の家のリビングにインテリアとしてまだ有るが、前面に蝋燭の灯りを乗せられる台が付いた、本当に古いピアノだった。
それでも姉は大喜びで、毎日練習をしてついに音楽学校に合格したから、その執念は凄いものだった。
音楽学校に入学してからは、古いピアノは音が悪いといって、再び「ピアノ買うて〜」が始まった。
父は根負けして、新しいヤマハのピアノを購入した。
80才を越えた今は、自分で新しいピアノを購入して、毎日モーツアルトショパンをを弾いている。

考えてみると、私は姉のように、父にねだって買ってもらった物は何もない。