a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

「木洩れ日の家で」

映画鑑賞は殆どはDVDをレンタルするか、ケーブルテレビの洋画チャンネルをチェックしておいて観る。
映画館で観るのは最近少なくなった。車で行くと簡単だが、電車に乗ってとなると足が遠のく。
DVDは1週間に1本のペースでリクエストして届けて貰っている。
だから、お薦め!!と言っても、もう現在映画館では上映していない。
お薦めの映画。
「木洩れ日の家で」原題Pora umierac(死んだ方がまし)
2006年ポーランドワルシャワの郊外。
91才のアニエラ(演じている女優ダヌタ・シャフラルスカの実年齢も同じ)は、大きな樹に囲まれた木造の古い家で一人暮らしをしている。
息子が居るが、年に2回訪れるだけだ。
政府から押し付けられていた同居人が出て行ったので、一緒に住んで欲しいと頼むが、妻のせいにして拒否される。
子どもの頃から住んでいる家には深い愛着が有って、死ぬまで住んでいたいと思っている。
彼女の日課は、2階の窓から双眼鏡で隣の様子を眺めることで、成金男が通って来る「尻軽女」が住む家と、子ども達が賑やかに音楽を学んでいる家を観察している。
ある日、息子が騙して隣の成金男に土地と家を売ろうとしていることを、偶然聴いてしまったアニエラは、悲しくて落ち込む。
「神さま、なぜこんな試練をお与えになるのですか。何がお望みなのですか」と祈って、ベッドで横たわって死のうと思う。
しかし、ここからが彼女の真骨頂。「こんなことをして居てはならない」とガバっと起き上がる。
この映画はモノクロームで撮っている。
陰影がはっきりして、美しい。ガラス窓のある木造の家と風に揺れる大きな樹々が素晴らしい。
アニエラには、フィラデルフィアという名の忠実な犬の相棒がいる。この犬が可愛い。つぶらな瞳とぬれた鼻、舌なめずりしてマヌエラのバターつきトーストやリキュールをねだる仕草がたまらない。
映像は凹凸の有るガラスを通して撮っているので、歪んだり二重になったりして、より幻想的で美しい。
試練に会っても、誇り高く自分の意志を貫いて行動する彼女に、勇気をもらえること間違いない。
子どもがあっても無くても、素晴らしい人生の最期の過ごし方が学べる。
ヨーロッパのお年寄りは91才でも姿勢はしゃんとしているし、靴を履いて走ったりする。階段もすたすた降りる。強いなあと感動した。
私も頑張らなあかん、と思わせる映画である。
木洩れ日の家で [DVD]