a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

ユンボギの日記

最近読んだ本

 

ユンボギの日記 ーあの空に悲しみがー」イー・ユンボギ 坂本勲訳

 

韓国の大邱に住む10才の少年ユンボギの1963年6月から翌年1月まで綴った日記。

ユンボギの母は6才の時兄妹4人を置いて家出をした。

父は病気で働けず、家賃も払えず追い出され、住む家も無い最低の暮らしを強いられていた。

凄まじい貧しさ。

ユンボギはガム売りをして僅かなお金を稼ぎ、お米を買ってお粥を食べたりうどんを弟妹たちに食べさせていた。

稼ぎの無いときは空き缶を持って「おもらい」をして餓えを凌いだ。

学校は休みがちだったが、先生がノートをくれて日記を書くように勧めた。

 

その頃の韓国は軍事クーデターの後で、軍政から民政へ転換の時期だったが、冷害と水害、凶作、物価の値上がりが続いた時期。

 

日本の戦後の子供の餓えも凄まじいものだったが、ユンボギは日々それを先生から貰ったノートに書いた。

先生はそれを読んで、感想を書いて励ましてくれるのだ。

お互いに貧しいのに、人々はそれぞれの力に応じたやり方で助けようとしてくれる。

学校の先生も優しいし、友達もお弁当を分けてくれたりする。

 

学校の先生を通じて出版されることになって、人々はその実態を知った。

惨めな暮らしに耐えて、行くへ知れずの母を慕って正しく生きるユンボギ。

涙無くして読めない。