最近読んだ本
「リンドグレーンと少女サラ」秘密の往復書簡
児童文学者のアストリッド・リンドグレーンは「長くつ下のピッピ」「やかまし村の子どもたち」「ちいさいロッタちゃん」など多くの子どもの作品を書いた。
リンドグレーンには子供達からも大人からも沢山手紙が届く。
長年にわたって受け取った手紙が何千通と残っていた。
出来る限り返事を書いたが、何分数が多いので往復のやり取りはしない。
一度きりと約束していた。
リンドグレーンが亡くなって、アーカイブ(文書記録)の整理をしていたら、一人の少女からの手紙が沢山出てきた。
その少女は「サラ」。
サラは長年、リンドグレーンからもらった手紙を大切に大切に保管してあった。
リンドグレーンが亡くなって何年かして、サラはリンドグレーンの遺族の娘に連絡をとった。
リンドグレーンは1907年生まれ。
サラは1058年生まれで、サラが初めて手紙を出したのが12才のとき。
親から虐待を受けてお祖母ちゃんと暮らしていたサラ、学校でもいじめに会っていた惨めな少女サラ。
思いの丈を文章にして一人の読者として出した手紙が、リンドグレーンの心に深く印象に残ったのだろう。
秘密にしてずっと手紙のやり取りをしてサラを支えた。
悩み多い一人の少女と、世界的に知られた作家、しかも年齢差は51才にも関わらず対等な立場でやり取りがなされていた。
二人の手紙が揃って、サラは熟慮の結果出版することを承諾した。
成長したサラは、3人の子どもを持ち、ジャーナリストの仕事をしている。