誰もがびっくりする。
中学校の同級生のFちゃんは83才の今まで独身だった。
銀行勤めをして、親と暮らし、気楽な独身生活をしてきた。
5年ほど前から恋人が出来て(!)ずっとおのろけを聞かされてきたが、皆が「良い様に利用されてるのと違うの?」とか言って心配していた。
ところが昨日電話で「Tさんが婚姻届を出そうと言った」というでは無いか。
自分の近い将来の事を考えて、Fちゃんのために正式に婚姻届を出すというのだ。
遺族年金をもらってくれ・・・というのがプロポーズの言葉。
世の中の独身女性は諦めてはならない。
83才になってもプロポーズされる。
今日Fちゃんの家に行く約束をしていたので、Aちゃんと二人で行くと、彼が居た。
正式に紹介してもらった。
彼Tさんは、10年ほど前に奥さんを亡くして独身。
年齢は88才だという。
見た目は年齢よりずっと若く、お爺さんっぽくない。
話の内容も猫の事から1ヶ月に6回は行く趣味のゴルフの事。
気さくで楽しい人と分かってホッとした。
Fちゃんは家事能力が優れているわけでは無い。
お台所はいつも散らかっているし、食器もすぐ割ってしまう。
料理が特別上手でもない。
特別美人というわけでも無い。
それでも一緒に暮らして自分の財産を上げたい、と思うFちゃんの魅力は何だ?
フルーツジェリーのケーキが用意してあったので、彼が切り分けてくれた。
「ケーキ入刀のリハーサルね」と冷やかす。
二人の幸せな月日が長く続くことを祈る。
一緒に行ったAちゃんは、かなり悲観的な考えの持ち主で、会うと家族の愚痴ばっかり聞かされる。お金の使い方もみみっちい。
帰りに言った。
「私も金持ちの男に出会いたい・・・」
しかし、Aちゃんみたいに鬱陶しい顔をしてたら男は逃げるだろう。
その点Fちゃんは天真爛漫なお婆さんで、しつこいぐらい人懐っこく、お金は溜めずに欲しいものを買ってしまう楽天家。
私は真似できない。
もうもう男はんは結構でおます。