1972年製作 伊仏独合作
長~い長~い映画である。
ずっと昔、近所の銀行で窓口に呼ばれるのを待っている時(最近はこんな風景は無くなってしまった)、置いてあった雑誌を捲っていると、夢のようなロマンチックな素敵なお城の写真が載っていた。
ドイツの「ノイッシュバンシュタイン城」白鳥城とも言われると説明があった。
またルートヴィッヒ2世が建てたとも書かれていた。
何という素敵なお城だろう。これはいつか行って見たい、とその時思った。
夢が叶って、夫とドイツへの旅をしたのが1993年6月。
ノイッシュバンシュタイン城へは馬車に乗って行った。
人気があるお城だから、見学するのに長い長い行列だった。
土産屋で2000ピースのジクソーパズルを買って来て、お正月に3日かかって埋めた。
浮かび上がったお城はやはり美しく夢のような趣きをしていた。
その時、レーザーディスクというのが家にあって「ルードヴィヒ」の映画をディスクで初めて観たのだった。
前置きが長くなってしまった。
映画はルートヴィヒが若くしてバイエルン国の王になるところから始まる。
ルートヴィヒは内気で国王としての資質に欠けていた。
ロマンチストでメルヘンや神話が好き。
中でもローエン・グリンの世界に自分も入り込んでしまう様な人物だった。
音楽を愛し、特にワーグナーの音楽をこよなく愛し、経済的にだらしなく困窮しているワーグナーの後ろ盾となった。
ルートヴィヒを演じたのはヘルムート・バーガー。
当時のアラン・ドロンに負けない美男子俳優。
リヒャルト・ワーグナー(トレバー・ハワード)の妻コジマにはシルヴァーナ・マンガーノ。
プロイセンとオーストリアの戦が有っても弟オットー王子を行かせ、自分は国を顧みず、中世風の城造りと音楽に夢中になっていた。
唯一、心を開いたのはオーストリア皇后エリザベト(ロミー・シュナイダー)。
心配した彼女はルートヴィヒに妹ゾフィーと婚約させたが、結局破談となった。
美しかったルートヴィヒだが、孤独で城に閉じこもって、太った醜い姿の晩年はあわれ。
豪華絢爛なビスコンティ監督のこの映画は美しく見応えがあるが、やはり悲しい映画なのだ。
ルートヴィヒは音楽と城造りで国庫を破綻させたが、今はどうだ。
美しい城は世界中からの観光客で溢れ、ワーグナーの音楽は独特の世界を維持して我々を楽しませてくれている。
良い国王だったのだ。
こんな国王ばかりだったら、世界は戦争が無くなるのに。