第1、2、3木曜日の午後は公民館で女性コーラスの練習がある。
近所に住む体力の衰えた友達3人も一緒に娘は車で送ってくれる。
帰りは坂道を下るので楽だし、私は出来たら歩いて帰りたい。
娘にも無理は言えない。
公民館に到着して「帰りは迎えに来て貰わなくても良いかな?」と私が言ったけれど、誰からも「帰りは歩くから来て貰わなくても良いですよ」という言葉が出ない。
黙っている。
すかさず娘が、
「何時に終わるの?迎えに来るよ」。
一同に「ほっ」とした雰囲気が漂う。
時計の文字盤の上で秒針が時を刻む様に、体力が落ちてゆく。
1ヶ月前までは途中でベンチに座って休憩しながら歩いて帰れたのに。
もし誘わないで、車の送迎がなく家に置き去りにしてしまったら、フレイルへの道まっしぐらは目に見えている。
それは私の近未来の姿でもある。
悲しいけれど「頑張る」ことにも限界がある。
惜しくも早く亡くなってしまったが、
昔、結婚するずっと前に、歌舞伎座で「尾上梅幸(菊五郎のお父さん)」さんの楽屋に遊びに行ったことがあった。
その時、部屋の暖簾を潜って一人の若い役者が出番の前の挨拶に入って来た。
見るとそれはそれは美しい役者でびっくりした。
その頃彼はまだ20代だったと思う。
私は梅幸さんの楽屋に居るより、早よう客席に戻って彼の舞台を見たい!と思ったのだった。
それから橋蔵さんは映画に出て、テレビに出て銭形平次で大人気になった。
若くて惜しまれた幕引きの仕方は、美しさを保つ必要がある役者または俳優という仕事には良いのかも知れない。
誰でも若い時は美しくて元気なのは当然・・・とつくづく思う。