寒い朝。
予約してあった歯医者に行く。
取れてしまった前歯は年が改まってから作ってもらうことにして、今日は歯のお掃除をして貰った。
先に治療を済ませた患者の女性は、痛み止めやら抗生物質やら処方されて、月曜に予約をとっていた。
月曜日って29日。
明後日。
先生は年末もよく頑張りはる。
私の伯父は東京で歯科医をしていた。
当時の歯科治療は今とは違っていたから、患者のことが心配で、大阪の弟の家の祝い事があっても出席しなかった。
今なら新幹線で日帰りもできるけれど、あの頃は東京大阪間は長く掛かったのだ。
お祝いも頂いているし、夫と私は新婚旅行の帰りに伯父の家に挨拶に行った。
伯父さんは喜んで、広い庭を眺めながら「もう少し早かったらチューリップがいっぱい咲いて居たんだよ」とおっしゃった。
私は赤やピンクのチューリップが咲いた庭を想像することが出来た。
美しいお庭だった。
もう5月も終わりの頃になっていた。
あの時は、美しいガラスの器に入った苺ミルクをご馳走になった。
再び逢いに行くことは出来なかったけれど、写真を同封して手紙を度々出していた。
写真は昭和の初め頃の伯父さんと父の古いもの。
伯父さんは軍医として従軍したのだ。
間も無く無事に帰って来た。
実家のアルバムには出征した日の家の前でのお祝いの写真もあった。
父は上京して見送ったのだ。
大切なお兄さんが無事に帰って来るように祈ったと思う。

昭和の初め頃。