「イヴ・サンローラン」2014年製作のフランス映画を観た。
とても美しい映画で堪能した。
イヴ・サンローランは1936年10月生まれ。なんと私と同じ頃に生まれている。
21歳で才能を認められて、急死したクリスチャン・ディオールの後継者としてディオール社のデザイナーになる。
21歳の私はその頃何をしていたか?
フランスから立体裁断を学んできた「伊東茂平」先生が作った洋裁学校で学んでいたのだ。
学校にはパリ発のモードの雑誌が一杯あって、それを見ながら丼池(本町にある問屋筋)で買った安物の布地で作る服のデザインを考えていた。
学校では毎日製図の勉強と仮縫いのレッスン。
助手の先生が仮縫いをしてくれると布と一緒に皮膚もピンで救う。「痛い!」と叫んだら「ごめん」と抜いてくれるが何度もそれが続く。
熱心なのは良いが体も布製のボディも分からなくなってしまうのかな。
懐かしい思い出である。
映画に戻って、イブ・サンローラン(ピエール・ニネ)は天才でセンスと創造性に長けていたが、他のことは何も出来ないししようとしなかった。
繊細で美しい男だった。
全てのことはパートナーでもあるピエール(ギョーム・ガリエンヌ)が解決し生涯支えた。
兵役(アルジェリア戦争)は免れることが不可能で,そのせいで精神病院にも入った。
その後もアルコールやドラッグに溺れて辛い日々を送っている。
華やかなショウのニュースだけに目が行くが、天才の生涯は孤独で苦しくて悲しいものだった。
71歳で亡くなっている。
彼のファッション界への功績は大きい。
オートクチュールからプレタポルテに進み、一般の人にも洗練されたドレスが着られるようにしたのも彼だし、モンドリアンルックやサファリールックやパンタロンスーツなど、時代が蘇って懐かしい。
ファッションショウの場面は本当に素晴らしくドレスが見事で息を飲む。
この映画の撮影のためピエールは保管している実際の服の使用を許可したという。
私は若い頃に洋裁の基礎を学んだので、今でも着るものにはこだわりがある。
身に合わない服は許せないので、既製品を買ってもバラして自分の体に合わせなくては納まらない。結構しんどいのである。