1980年、フェスティバルホールで演奏された「ベルディ・レクイエム」で初めて歌った。
36年も昔のことである。
合唱団では1週間に1度の練習だったが、日曜練習、合宿と半年以上かけてハードな練習だった。
昨日の公演でも合唱団員は全員楽譜を持たず暗譜で歌っていたが、長い曲を全部頭に入れるのはかなり努力がいる。
何故暗譜かというと、アマチュアは上手に譜面を見ることができ無い。楽譜にかじりついてしまうのである。
合唱は指揮を見て歌うのが基本。プロの歌手はその点指揮を見るタイミングを熟知しているから良いのだが。
そういうわけで、とにかく譜面を見つめて頭に覚えこむ以外に方法はない。
若かったから「誰が早く暗譜するか?」と競い合ったものだった。
ベルディの曲は大層ドラマチックであり、静かな祈りと神の御怒りとが交錯してPPから始まる曲が次第に息を飲ませぬほど華やかに激しく奏でられ、合唱とソリスト、また管弦楽が織りなす響きが壮大な流れとなる。
今回初めて客席からこの曲を聴いて管楽器の美しい響きに痺れた。
それとパーカッションが効果的、ベルディってやっぱりすごいと改めて感じた。
合唱団にとって特に難しい箇所はサンクトゥスとリベラメドミネ。各パートがいくつにも分かれて歌う。この箇所を無事歌い終えたら安堵したものだ。
昨日も美しく歌い終えたのを聞いていてホッとした。
36年前に初めて歌ってから数年経って、1994年、堺市とニュージーランドのウエリント市が姉妹都市になる記念に「ベルディ・レクイエム」を演奏するからと団員を募集した。
合唱団の友達(例の3人組)と「行こう!」と決めてニュージーランドに演奏旅行に参加することにした。
何度か練習を重ねて「キックオフコンサート」がザ・シンフォニーホールで開催された。
知らない人たちの集合だけれど、すぐ仲良くなる。
合唱の特質である。
私は・・・と探すとトランペットの左端の奏者の後ろにいた。右隣は背の高いお嬢さんだった。
全員楽譜を持って歌っている。
暗譜で歌っているフェスティバルホールの写真は紛失して無い。
話はニュージーランドに飛ぶが、この後首都ウエリントンで練習をして演奏会があった。
姉妹都市のセレモニーとか歓迎パーティーもあって、私たちは和服で出席したのでウエリントンの助役さん夫妻の隣に座らせてもらった。
その後クライストチャーチに飛び演奏会を持った。
一緒に歌ったニュージーランドの合唱団員の女性が、沈丁花の小さな花束をプレゼントしてくださって感激。
そんなわけで私にとってこの曲は懐かしく大好きな曲なので昨夜は感動してウルウルになってしまった。
昨夜の演奏会の感想というよりも、過去の自慢になってしまったみたい^^;