午後、おやつを食べてから、裏庭に出る。
台所の窓からすだちの木が見えて、まだ上の方に一杯青々とした実が沢山付いている。
この前採ったのは北海道の友人に送って、残りはジュースを絞ろうと思ってまだ冷蔵庫に寝ている。
今日は残りを採ってしまおうと思ったけれど、まだまだ天辺に仰山くっついている。
ちょっと私の手に負えない。
裏のお家との界に植えてしまったので、成長したら枝が半分はみ出てしまったのだ。
裏のご主人は最近亡くなられたが、いつも私が切っていると、下から大声で「落ちんように気をつけなはれや」と気遣ってくださっていた。
裏は一段低くなっているから。
後で「おすそ分け」と持っていくと、お礼に植木用のしっかりした手袋を下さった。
「柔らかい手にトゲ刺さったらあきませんやろ」と大阪の男性は口が上手い。
「お宅に落ちた分はすみませんけど食べといてくださいね」と私。
「はいはい。たくさん落としてくださいや」。
仲良しだった裏のご主人はもういない。
鋏を使いながら今は荒れ果てた裏のお庭を眺める。
誰も「危ないでっせ」というてくれる人は居ない・・・。
本当に危ないから残りは植木屋が来たときに切ってもらうことにする。
いつ来るか当てにできないから、多分黄色くなってしまうだろう。
その時はジャムにしよう。