夕方近く、謡曲の稽古の帰りのC.Nさんが来た。
今日は1ヶ月に1度、2人で近所に住む97歳のKさんを訪問する日だった。
すだちとちょっとしたおやつを持って行く。
Kさんは元気な足取りでドアを開けてくれた。
97歳とは思えない。
C.Nさんが勝手にお茶を入れて1時間あまりおしゃべりをする。
Kさんはにこにこ笑って二人がしゃべるのを聞いておられる。
C.Nさんは私より2歳若いが、今日は中学校1年生の時の話をしてくれた。
担任の先生は復員してきたばかりの音楽の先生で、合唱との出会いを作ってくださった先生だという。
新制中学校は大勢の子供達で溢れていて、クラスは60人ほども居て8組も有ったそうだ。
先生は「1年6組の歌」という曲を作って下さったので、クラス全員でいつも歌ったそうだ。
C.Nさんは今も歌詞を忘れず歌える。
この歌を歌う時、心は中学生になっているのだろう。
戦死せず命を持って帰還して教育に携わることができた先生は、情熱を持って生徒に音楽を演奏する喜びを教えたのだ。
だから、80歳になった今もコーラスを楽しんでいる彼女が居るのだ。
良い先生に出会えて良かったなあ。
だいたい、2人が喋る内容は思い出話が多い。
私とC.Nさんは混声合唱団に入ってからの友達でもう40年続いている。
1時間あまり喋り倒してお暇をした。
疲れはれへんかったやろか。
前庭に紫苑が咲いていた。
小さくぽちっと写っている赤い花はオシロイバナ。
紫苑もおしろい花も昔の庭によく咲いていた懐かしい花である。