今年の春は雨が多くて、球根も沢山花開くけれど、雑草(ドクダミ、すぎな)も勢い物凄い。シーラが雑草の中に埋もれてしまった。
昨日の続き。
奈良の家は何年か掛かってようやく落ち着いた。
残る家具は、夫の妹が幼い時から弾いていた古いピアノと、重い金庫。
どちらも処分するのにお金が必要だ。
義叔母がこの家に住んだのは60歳の時で、20年も経たないで死んでしまったことになる。
大阪の阿倍野区の大きな借家に戦争前から住んでいたが、ある日立ち退きを迫られて、やむなく家を移った。
大和の古い村が気に入って蔵付きの古家を買ったのだった。
義叔母は万葉集が好きでロマンチストだった。
引っ越すときに今なら断捨離をするだろうが、義叔母は何一つ捨てずに、石の灯籠から石の手水鉢に至るまで、全部移転した。
重い金庫まで運んだのだ。
さてこの金庫は開けるのが大変だったが、苦労して開けたら全くの空っぽだった。
何のための金庫なのか、見栄を張ってるとしか思えなかった。
捨てるのもお金が必要なのだった。
この家は売却に時間が掛かった。
維持をするのもお金が要る。
台風が来たら蔵の壁が落ちて修理費用が要ったし、庭木の手入れも必要だった。
そんなある日、植木の葉刈りに行ってくれた植木屋から電話がかかって「玄関の戸が開いて泥棒が入ったみたいです」と連絡があった。
娘と急いで行って警察を呼んだ。
植木屋は仕事をせずにそのまま帰って行ったので、その年は手間代を2日分払ったのだった。
その村は犯罪などは無く、普段玄関に鍵を掛けないで暮らすような穏やかな所だったのだが。
泥棒は入っても金目のものは何も無かったが、ふと大きな金庫が目についた!!
開けるのに時間が掛かっただろうに、開けたら空っぽだった。
泥棒に気の毒なことをした・・・。
お巡りさんは二人来て、植木屋の靴(地下たび)の型を取ったり(彼らは靴のまま中を見に入ったのだ)、
私は指紋を取られた。
初めての経験で、ちょっとドキドキした。
ミステリーが好きな私には楽しい経験だった。
結局、犯人は見つからなかったようだ。
もちろん何の被害もなかったのだから。
住まないで空き家にしておくと言うのは良くない。
売却が成立して手放したときは本当にホッとしたのである。
裏山は今年も筍が取れただろうか。