夫の衣類の整理をしている。
クローゼットに並んでいる夫のシャツやジャケットを見ると、つい去年はこれ着てたな、とか今頃買うたんや・・とか思って悲しくなるので、目の前から除ける事にしようと思った。
整理好きな私は、普段からクローゼットの夫の洋服の並べ替えをして居た。その時にブラシを掛けたりポケットの点検をする。領収書やくしゃくしゃのハンカチが出て来る。そして私が一番楽しみにしていたのは現金が出て来る事だった。
夫はお金を粗末に扱っていたから、いつもお札をポケットにつっこんである。小銭もじゃらじゃらズボンのポケットに入っている。
集計したら１万円位有るのが常だった。勿論それは即私の財布に収納されるのだった。
後で「僕の服にお金入ってへんかったか？」等と聞く人では無い。入れた事等全く忘れているのだったから。
今日は流石にもう無いだろうと思っていたが、何と、去年の夏に穿いていたズボン２枚にお札が入っていた。勿論じゃらっも。合計１万円を越えた。
「お父さん、ありがとう」と思わず口に出して言ってしまった。
しばらくは整理に時間を取られるが、それが終わったらもう２度とこの楽しみは無くなるのだと思うと悲しい。
