a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

もう一人の姉

京都のK子姉から電話が有った。彼女は私の兄のex-wifeである。
故有って兄と離婚した。50年も昔の話である。
兄が結婚した頃、私はまだ高校生で、新しいお姉さんが出来て嬉しかった。京都の『ええし』のお嬢さんだったから、上品で優しくて洋裁が上手でお料理も上手で、文句の付けようの無いお嫁さんだった。
私は学校の帰りに新婚の家に良く入り浸っていた。姪が産まれてからはもっと頻繁に訪れたものだった。
兄と離婚して京都に帰ってからは、音信も途絶えてしまっていた。
或る日(30年程前)芝居が跳ねたあとロビーを歩いていると、視線を感じた。振り返るとK子姉が私を見て立っていた。20年振りの再会である。それ以後時々会って話をしたり、電話をして近況を報告し合っていた。
今はもう77才。兄と別れてからはずっと独身を通して一人暮らしなのだ。
電話が掛かって私が「姉さんおはようございます」と言うと「やあ、K子さん、お早うさんどす」と柔らかい京都弁が返って来る。いつもつい長電話になってしまう。
夫の事も良く知っていたから、お供えにと手作りの縮緬細工の蓮の花を送って来た。
「K子さんはご夫婦でクリスチャンにならはったのに、蓮の花で悪かったどすなあ」と言っている。
「蓮の花でもお花に変わりないから嬉しい」と私。
兄の事を怨むで無く「お元気にしたはるんどすやろか」と懐かしそうだ。私には3人も姉が居るけれど、この女性も私の姉なのである。