a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

「勧進帳」

どこへも行かない日は良い。2階で縫い物をする。1時間半だけに決めてそれ以上は次の日に回す。
縫い物のときはFM放送を聴く。11時になると邦楽の時間で、今日は長唄勧進帳」を聴いた。
武蔵坊弁慶源義経と数人の仕卒を連れて、山伏の姿で逃避行をしている。
安宅の関で、関守冨樫左衛門に咎められ、勧進帳と偽って巻物をあたかも書いてあるように読む。芝居のクライマックスである。そして主君である義経を打擲し、疑いの目をそらし辛くも逃げる。花道で弁慶は飛び六法を踏んで、先に逃がした主君を追いかけるドラマチックな歌舞伎の曲である。
私は半世紀前に長唄の稽古をして居た時期があって、かなり上達した頃、この「勧進帳」を習った。歌舞伎では何度も舞台を観たが、実際に練習した曲は細部まで覚えていて、とても懐かしい。
もっと続けて精進して居たら、今頃長唄のおっしょさんをして居たかも知れない。
師匠に「名取りになったらどうか」と打診されて、「私は三味線弾きになりたない」と止めてしまった。
親に買ってもらった三味線は破けた皮のまま、屋根裏に有る。
懐かしく思い出しながらミシンを踏んでいた。