聖書の植物(18)ー落穂拾い
私の一番好きな旧約聖書の物語。
ミレーの「落穂拾い」はルツ記から発想を得て描いている。
[物語]
飢饉が有ったので、ユダのベツレヘムの人エリメレクは妻ナオミと二人の息子を連れてモアブに滞在した。
そこでエリメレクは死んでしまった。
やがて二人の息子はそれぞれモアブの女を妻に迎えた。
しかし10年後二人の息子は死んだ。
こうしてナオミは二人の子供と夫に先立たれてしまったのだった。
そこで、彼女はユダの地へ帰ることにしたが、嫁達にそれぞれ自分の母の元に帰るように言った。
「あなた方が私たちにしてくれたように、主が平和な暮らしをしてくださいますように」と言った。
彼女達は声をあげて泣いた。
オルパは別れの口づけをしたが、ルツは彼女と別れようとはしなかった。
ナオミと嫁のルツは旅をして、大麦の刈り取りが始まる頃ベツレヘムについた。
ルツ記1:1-22
麦を刈り取るのではなくて、落ち穂を拾うルツ。
背景にはどんな物語があるのだろう。
聖書ルツ記2:1-23
1、当時の福祉政策
イスラエルでは、麦の刈り取りの時期に、取り残った落ち穂は貧しい者のために残しておくように教えられていた。
あなたがたの土地の収穫を刈り入れるとき、
あなたは刈るときに、畑の隅まで刈ってはならない。
あなたの収穫の落ち穂も集めてはならない。
貧しい者と在留異国人のために、
それらを残しておかなければならない。
わたしはあなたがたの神、主である。レビ記23:22
2、落ち穂拾いを決意するルツ
モアブの地から極貧の中、戻ってきたナオミと嫁のルツ。
何とか生き抜いていくために、恥ずかしく思うことを捨てて新しい行動を生んだ。2
ルツは愛と勇気がある女性である。
しかし、ナオミの言葉にあるように、落穂拾いは「いじめ」の場所でもあった。
ナオミは嫁のルツに言った。
「娘よ。
あの方のところの若い女たちといっしょに出かけるのはけっこうなことです。
ほかの畑でいじめられなくても済みます。」 22
3、最も良い畑に導かれるルツ
はからずも・・・エリメレクの一族に属するボアズの畑に導かれた。3
①ルツにはどこで落ち穂を拾うのか情報がなかったと思われる。
出かけて行った畑は「はからずも」ナオミの亡き夫の親戚筋で有力者のボアズの畑であった。
後の祝福を思えば何という神の導きだろう。
*ボアズの母はラハブである。
サルモンに、ラハブによってボアズが生まれ、
ボアズにルツによってオベデが生まれ、
オベデにエッサイが生まれ、
エッサイにダビデ王が生まれた。マタイ1:5、6
②主は私のたましいを生き返らせ、
御名のために、
私を義の道に導かれます。詩篇23:3
刈り入れのとき ルツとボアズ(ミレー画)