a-dollブログのシリーズ 私の好きな映画百選no18決定。
1945年制作フランス映画「天井桟敷の人々」
昨日はBSで4K修復版という美しい映像で久しぶりで観た。
何度も観たが観る年代で、感じ方も理解し方も変わる。
今回はより理解できてえら〜く感動した。
監督マルセル・カルネ
脚本ジャック・プレヴェールのフランス映画最高傑作。
物語の時代は19世紀前半のパリ。
第1幕「犯罪大通り」
劇場や見世物小屋がひしめいて大道芸人もいて大賑わいの通りが舞台。
登場人物の多いこと。
美女ガランスを巡る4人の男
・ヘヤースタイルが独特な男、頭が良くて代書屋をしているが、実は泥棒も殺人もする ピエール。
・女たらしのシェークスピア役者で脚本家フレデリック(ピエール・ブラッスール)。
・金の力でガランスを囲うモントール伯爵。
・そして一目惚れしたガランスに純愛を捧げるパントマイム役者のバチスト(ジャン=ルイ・バロー)。
女性の登場人物はガランス(アルレッティ)。
その夜寝る場所も定まらないような生活をしている美女。
インチキ見世物小屋で裸体を晒している。
途中で金持ちの伯爵夫人になって目が覚めるような美しい女性になった。
もう一人はバチストに恋焦がれているナタリー(マリア・カザレス)。
私が初めてこの映画を鑑賞したのは20歳前後だったから、バチストを一途に恋慕うナタリーに肩入れしたものだった。
彼女を無視して男を渡り歩くガランスが憎らしかった。
その他、古着屋の汚らしい親父が狂言回しの役。
盲目の乞食だが実は目利きで盗品の値打ちを見る男。
などなど。
映画の制作はナチスドイツに占領されていた頃から作られていて、ノルマンディ上陸の報が入ってパリが間も無く開放されて、映画も完成したという。
すごいわ。
天井桟敷とは劇場の客席の最上階。
原題は「天国の子ども」
天井に近くて観覧料が安い。
子供のように騒いて演劇を楽しむ庶民の遊び場のよう。
そういえば私が少女の頃、H子姉ちゃんと上方歌舞伎に嵌まっていた時期がある。
安いチケットを買って歌舞伎座や中座の最上階で歌舞伎を楽しんだ。
若かったから遠くからでも良く見えたのだ。
第2幕は「白い男」
数年経って、
人気のパントマイムのバチストを密かに劇場へ足を運んで観に来る美しい伯爵夫人のガランス。
それに気づくバチスト。
バチストはナタリーと結婚して可愛い子供も居た。
ジャン=ルイ・バローのパントマイムは素晴らしい。
1幕の帽子をかぶって劇場の前で演じる、スリの男の実況放送的なパントマイム。
すごい! 魅せられる!
舞台で白いダブダブのピエロの衣装、白塗りの顔、頭にピッタリ被った黒い帽子。
私は気がついた。
中年になって人形作りを始めて作ったピエロの人形。
原点はバチストで有ることを。
若い脳に強く印象付けられて眠っていたのがデザインに生かされた。
自然に湧き出てきた人形の衣装を作るときのアイデアはこの映画に有ったのだ~~。
映画ばっかり見ていたというのも無駄では無かったのだ。