a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

生涯の最後の暮らし

昨夜、M子姉ちゃんは良く眠れただろうか。

 

昨日娘に「迎えに来る時もきっとNちゃんが来てね」と言ったそうだ。

また、戻れると思っているらしい。

姉の一人娘Hちゃんは、陶芸家として今が一番多忙な時期で、昨日は横浜から出てこれなかった。

全てを信頼している年上の従姉妹に任せている。

忙しい日々を過ごしていて、しかも離れて暮らしている母親の面倒を見るのは大変だろう。

 

M子姉ちゃんは発達障害アスペルガーだと10年ほど前に診断された。

幼い時から単なるわがままな娘、として両親にも良く叱られていたのを思い出す。

唯一音楽の才能だけが優れていた。

それと天才的な記憶力。

 

M子姉ちゃんは20代で東大出の裁判官と結婚して二人の男の子を産んだが、離婚した。

M子姉ちゃんは普通の主婦には向いてない。

家事能力ゼロなのだ。

 

昔、姉の長男が赤ちゃんの時、まだ独身だった私はよく手伝いに行ったが、汚れ物がお風呂に山と溜まっていて(その頃まだ洗濯機はなかった)、夕飯は間に合わず、仕事から帰った夫が作っていた。

「お姉ちゃん、あかんやんか、何してんのん?」と心の中で嘆いていた私。

 

離婚から立ち直って、音楽の才能を生かして音楽教室の先生をした。

人気が有って生徒は沢山増えて楽器店では大事にしてもらっていた。

 

でもある時、ある出会いがあって娘が生まれたが、相手の仕事が上手くいかず、姉のお金も無くなり子供を抱えての大変な生活が始まった。

この件も含めてM子姉ちゃんの生涯は辛い悲しいものだった。

育児もうまく出来ないから、40歳を過ぎて生まれたHちゃんを一人で育てるのも大変だった。

だから娘のHちゃんはしっかりしている。

 

M子姉ちゃんは10数年前に交通事故に遭って入院した。

私はHちゃんを助けて病院に通った。

私もその頃は夫を亡くして時間にゆとりがあったから姉に優しく接することができたのだろう。

 

7年前に、見舞いに来て下さった牧師先生に「イエス様を信じます」と突然信仰告白をして洗礼を受けた。

礼拝で、2人で讃美歌「慈しみ深き」を歌って教会の人達に聴いてもらった。

かなり良かったようで、多くの人に褒めてもらって姉は満足したようだった。

 

妹の私に生まれて初めて「a-dollちゃん、あんた歌うの上手やね」って言ってくれた。

それまで妹が何をしているか、一切関心がなかった。

何でも自分は一番と信じて今まで生きて来たM子姉ちゃんなのだ。

 

この10数年間で何度も骨折をし入院をした時に、うちの娘が、私と一緒に世話をした行為が姉の心に深く染み込んだようだ。

昨日、娘が探して連れて行った老人施設は、大阪の郊外で山が近くに見えて静かな場所にある。

姉に与えられたお部屋は広くて清潔。

ピアノも運んで貰い部屋で弾くことが出来るとのこと。

エレベーターに乗るには暗証番号が要るので、外へ出て行く心配もない。

 

苦労をした生涯だけど、最晩年は平安に静かに好きなことをして過ごせるM子姉ちゃん。

良かったね〜M子姉ちゃん。

 

私は心底ほっとしている。