a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

黒髪の人形

朝刊に、国立文楽劇場床山係、高橋晃子さんの写真と記事が載っていた。20年間舞台裏で人形の髪結い一筋に伝統芸能を支えて来た高橋さんのライブセミナー『文楽の仕事』がドーンセンターで開かれると言う記事だ。
元結いをくわえて人形の黒髪を真剣な眼差しで結っている写真や、小さな文楽人形の頭が幾つも並んだ写真を見ていると、子供の頃H子姉ちゃんがお人形を作っていた姿が浮かんできた。
結婚前のH子姉ちゃんは趣味で日本人形を習っていた。
先生は確か私の踊りのお師匠さんのY本先生。先生は踊りより人形作りの方が熱心だったし上手だった様に思う。
和紙を型に抜いた顔にメーキャップをし、それに黒髪を植え付けたり(1本づつ針で植えていた記憶が有るが)貼付けたりして、そのあと島田や桃割れなどの髪型に結って行くのである。
H子姉ちゃんは手先が器用で、出来上がった人形はどれも見事な出来映えだった。それぞれ別誂えのガラスケースに入れられていた。
着物は母が縫っていたのだろう。
主に舞姿の人形が多かったようで、覚えているのは『投扇興』(扇を的に投げるゲームの1つ)『鏡獅子』(これは私が踊った時に記念に作ってくれた)等々。私は見ているだけで興味は無く決して自分も作ろうとは思わなかったのに、人形作りをしている今、ボディーはどうなっていたのか知りたいと思っている。
首とボディーのつなぎ目に砥の粉を塗ったりしていたような記憶があるのだが。
あの多くの人形達はどこへ行ったのだろう。
ふと思い出した、少女の頃のこと。