a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

友達からの電話

病院から帰ると留守電が入っていた。
20年前まで入っていた大阪市の女性コーラスの友達からだった。
友達といっても21才年長で、もう10年以上も会っていない。しばらく消息も聞かないので、もう亡くなられたのかと思っていた。
電話は埼玉県からだった。
コーヒーを飲んで一息入れてから電話をした。
「いやあ、うれしいわ、何でここの電話番号解ったん?」と昔の声そのままで無邪気な返事が返ってきた。もう93才で、長女の家族と同居し、週に2回デーサービスに行って温泉に入っているとのこと。元気な老後の過ごし方の見本の様な生活振りを披露してくれた。クリスマスには大勢の前で『聖この夜』を歌って最年長だったので拍手喝采をうけたとのこと。そうだろう、2番までは日本語で3番は英語で歌ったというのだから。彼女のビブラートの掛かった歌声が聞こえて来そうな気がした。
天真爛漫だからスタッフにも愛されて「あいちゃん」と呼んでもらっているらしい。
彼女は、終戦の年に満州から引き上げて来た。その時29才。9才の長女を頭に7才、5才の女の子、3才の長男、1才の次男を連れて命からがら帰国したのだった。
ご主人が復員されるまで行商をしたりして生活をし、子供を育てたのだった。その頃の思い出話は良く話してくれたが、苦労話ではなく楽しい話としてしゃべるので嫌ではなく、それが今の生活の明るさにもつながっているのかと思う。
「あなた、少しも変わってやないわ、電話でしゃべって嬉しかった」自分の子ども達のあれこれ、友達のうわさ、等々一杯しゃべって電話は終わったのだが、私の家族のことを聞くのを忘れたのはやはり年の所為か。
私も聞かれなくて助かった。