亡夫は余り相撲が好きではなかった。
好きなのはプロ野球。
学生の頃は「阪急ブレーブス(今のオリックス)」ファンだった。
後に「阪神タイガース」ファンに変わる。
でも本当はオリックスがずっと好きだったと私は知っていた。
甲子園やドームは良く一緒に行った。
お弁当を持って空が暮れ始まるころ、甲子園球場の暗い通路から客席に入る時「わーっ」という歓声が聞こえる。あの瞬間のわくわくする感じが好きだった。
相撲も同じだ。
甲子園球場では最初の頃は紙吹雪だったが、いつの間にか7回裏の風船飛ばしに変わった。
晩年に行った時は、風船を膨らますのがしんどくて、仕方なくビールを買いに行ってお店の人に膨らませてもらったり、隣の席の若者の親切に甘えて膨らませて貰ったりした。
これも友人が年間予約の席を「奥さんと行きなはれ」といつもくれていたのだった。
これは良い友達。
歌舞伎やミュージカルや新劇にも一緒に出かけた。
歌舞伎は高島屋でお弁当とビールかお酒を買って行った。
台風が大阪へ上陸するか?という日に出かけたこともある。
デパートは早々と閉店になっていてお弁当は買えなくて、幕間に松竹座の地下でお寿司を食べた。
台風というのに客席は満員。
芝居が終わって外に出ると風は収まって御堂筋の銀杏の葉が散っていた。
今は一人で映画は行けても、歌舞伎は観に行けない。
一人ぼっちで明るい歌舞伎座でお弁当を広げるのは嫌だし。
映画も観たいな・・・と思っているうちに日が経ってしまう。
そのうちDVDが出て炬燵桟敷でゆっくり観られるのを待つしかない。
そんなこんなで一人になって気楽だけれど、物足りない面もあるのだ。