a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

故郷の母

今日も暑い。

午前中に家業の事務手続きにSさんが来た。

印鑑を数カ所押しただけで、お茶も飲まずあたふたと帰って行ったが。

 

書類を片付けながら、私に「お幾つですか?」と長い付き合いなのに初めて聞いた。

「82才よ」というと「昭和11年生まれですね」とずばり正解した。彼のご母堂は同じ年なのだ。

「若く見えますね〜うちの母親は腰が曲がっていて・・・」

余り個人的な事は聞かない私なのだけれどつい聞いてしまった。

 

彼の言うにはお母さんは丹波篠山に住んでいてお兄さんの家族が一緒に暮らしている。

「腰の曲がっているのは遺伝なのですよ」とお母さんをかばっている優しい息子なんだ。

田舎暮らしと農業は体にきつい。

 

テレビで「ポツンと一軒家」という番組をいくつか観たけれど、山奥で一人農業をして暮らす高齢の女性は逞しい。

少々の事に動じない。

番組はお昼に撮影しているけれど、夜になるときっと家の周りは真っ暗闇で静かで・・・時々動物の鳴き声なんか聞こえてくる・・・雷が鳴ったり大雨の時は不安だろう。

肝が座ってないと暮らせない。

 

彼の生家は山奥ではないけれど農家なのだ。

「しかも戦時中に大きくなっているから母は強いです」。

息子が成長して都会に出て有名な商社に勤めていて、お母さんはきっと誇りに思っていらっしゃる事だろう。

Sさんは親思いの孝行な息子なのだ。

彼を玄関で見送りながらそう思った。