2018年・イタリア映画「幸福なラザロ」
女性監督アリーチェ・ロルバケルの作品。
イタリアの山地(どこかわからない)に貧しい村があった。
人々は狭い家にひしめき合って暮らしている。
汚い子供もたくさん走り回っている。
家鴨や山羊たちも一緒に。
家族はタバコの栽培やひよこ豆の収穫などの厳しい労働をしている。
いったい時代は何時なのかと思ったら20世紀の後半。
この村人達は公爵夫人の小作人たちということになっていた。
既に小作人法が廃止されたにも関わらず。
公爵夫人は村人を騙して、賃金を払わず借金で縛っている。
その中で、どんな過酷な労働でも嫌な顔をせず、黙々と働いているのがラザロ。
澄んだ瞳が美しい青年。
皆が「ラザロ、ラザロ~」と呼びつけて用事を言いつけるが黙って受け入れる。
ある日、ラザロは公爵夫人の息子タンクレディと出会い仲良くなる。
この映画は前半と後半で10数年の時の差がある。
ラザロが崖から転げ落ちる姿が有って映画は後半に入る。
聖書のヨハネの福音書に書かれている死から生き返るのが「ラザロ」。
後半の別の意味で過酷な村人の生活にも驚く。
自然溢れる農村から、ごちゃごちゃ物や人が溢れ蠢く都市へと生活の場が移動した。
不思議な美しい映画だった。