寒い朝。
曇り空で風も強い。
ガラス戸の前に座って庭を眺めながら猫にブラッシングをする毎朝の習慣だが今朝は寒いのである。
猫も私も。
太陽は時々顔を出して、その時一瞬だけ部屋を温めてくれる。
それでもたちまち雲の中へ。
だから寒い。
幼い頃の縁側で日向ぼっこをした寒い冬の日を思い出す。
暖房は炭火の入った火鉢だけだった。
晴れた日、母は縁側に布団を並べて干している。
太陽の光が届く畳の上にも広げている。
家族が多くてお布団も沢山要ったし。
ガラス越しに太陽が当たって、午後にはふっかふかになっている。
妹と一緒に寝転ぶと気持ちが良いのだった。
風がガラス戸に当たってカタカタ音を立てる。
あの頃の縁側のガラス戸は四角いガラスが何枚も嵌められていた。
戦時中、白い和紙を細長く切ってノリで横縦斜めに貼ったあのガラス。
薄くてよく割れた。
思い出に浸ってボ~ッと日向ぼっこをしてばかりだと、認知症になりかねない。
頑張ってスーパーへ買い出しに出る。
今日は一割引の日だったし。
外の物置からヒヤシンスのポットを出して来た。
蕾が出て来たからそろそろ咲く時期が来たようだ。
暗い中にいたから透き通るような黄色。
2日も経つと葉は緑を濃くして蕾が上がって来るだろう。
春の始まりの楽しみの一つ。