火曜日は買い物の日。
爽やかな天候なので、カートを引っ張って歩いて行く。
スーパーまでは上り坂でちょっとしんどい。
帰りは下り坂。
満杯に詰め込んだ重いカートを転がしてさっさと歩ける。
私にとって理想的な往復路なのだ。
午後は庭で草をむしる。
抜いても抜いても生えてくる草。
掃いても掃いても落ちて来る古葉。
携帯電話が鳴った。
スマートウォッチが電話だよ〜と教えてくれる。
Nさんが謡曲の稽古の帰りに来るらしい。
いよいよ車を手放す日が近くなったみたいで、そうなったら顔を見て喋るのはもう終わりだ。
彼女の夫はコロナで山登りができなくなって以来、引き篭もりになってしまった。
多分、老人性うつ病なのだろう。
彼はもうすぐ90歳になる。
「私の1番の望みは夫を先に見送りたいこと。一人残すのは可哀想過ぎる」
へ〜こんなに夫のことを愛していたのだ。
いつも気楽に喋っていたけれど、今日はちょっとしんみりしてしまった。
何でもいつかは終わりの時が来る。
彼女が来なくなるのは寂しいけれど、車の運転をやめると聞いて少しホッとした。