a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

愛犬ハッピー

戦後新しい子犬を父が貰って来た。
平和日本に因んで、『ハッピー』と名付けて、たちまち家中のアイドルになった。
私は本当はあまり犬が好きではなかった。
猫は静かだし、私が遊びたい時だけ遊んだら良いのだが、犬はこちらが遊びたく無くても、庭に出ると、喜んで跳んで来て飛びかかる。この騒々しさがちょっと嫌なのだった。
でも、ハッピーは私の思惑なんか知らず、くっついて来る。
小学校4年生の時に『わたしの愛犬ハッピー』と題して作文を書いたから、一応は愛していたのだ。
今の犬の飼い方と違って、中庭で放し飼い。ある日、私と妹が登校しようと門を出たら付いて来た。「おうちに入りなさい!」と言っても付いて来る。ハッピーに構っていたら学校に遅れるし、そのうち帰るだろうと、どんどん歩いて行ったらとうとう駅まで付いて来た。
♪外へ出るとき付いて来て、追っても追っても付いて来る。ポチは本当に可愛いな〜♪って歌と同じ状況なのだけど、可愛いなんて思う余裕は無いのだ。
「電車には乗られへんのやから、お帰り!」と言ってもプラットホームにも一緒に来るので、本当に困ってしまった。
もし電車通学でなかったら、学校まで付いて来て ♪メリーさんの羊♪ になっていただろう。
ついに電車が来て、私と妹は急いで乗り込んだ。電車は発車したのだが、そうなると今度はハッピーはどうするのだろう、迷子になってしまうのじゃないか、と心配で堪らない。
ちゃんとおうちに帰ったやろか?その日は勉強が上の空だった。
心配しながら帰宅すると、ハッピーはちゃんと帰っていたのだった。