a-dollのブログ

忘れたくない日々のあれこれの記録

幼い日のお雛祭り

お天気!

家の中の掃除を済ませて、庭に出る。

あれ〜!小さな雑草が早くも芽を出しているではないか!

春なのだな〜

 

戦争が終わって平和がやって来た子供の頃。

私は小学校四年生。

近所のお宅に、日本舞踊のお師匠さんが来て教えるから、お宅の嬢ちゃんも一緒にどうですか、と言う誘いが来た。

その家は父の同業者で、船場で商いをしているWさんというお金持ちの家だった。

母は妹と私を弟子入りさせた。

 

立派な家で、戦争前に疎開のために御寮さんの実家の敷地に家を建てて引っ越して来られたようだった。

一緒に稽古をしたのは御寮さんの孫娘2人と、やはりご近所のKさんの姉妹だった。

お稽古が始まった。

日本舞踊はあまり好きではなかったけれど、母には逆らえない。

 

三月になったある日、ひな祭りのご招待が有った。

W家の子供たち2人、お客は4人。

座敷には壁一杯に立派な段飾りのお雛様が2つ飾られていた。

妹のMちゃんの初節句のお祝いも段飾りのお雛様が贈られてきた様だ。

 

私たちは美しい子供用の座布団に座らされた。

前には子供用の小さな赤い塗りのお膳が人数分並べてあった。

ご馳走が何だったのかは忘れた。

多分五目寿司と蛤のお吸い物。

 

それだけの思い出だけれど、ひな祭りといえば思い出す。

食べ物がなかった頃だったからか・・・。

 

Wさんの家の隣は御寮さんの実家で、やはり古い大きな家だった。

その家の離れ座敷に独身の小父さんが住んでいた。

幼かった私には小父さんに見えたけど、もしかしたら、まだ若かったのかも知れない。

私と妹はそこへお習字の稽古に通わされた。

その先生は絵も教えてくれた。

先生の職業は何だったのだろう?

お部屋には珍しいものが沢山あって、鳩時計も掛かっていた。

冗談ばっかり言って面白い先生だった。

水彩画で桜の花の描き方を教えてもらった。

そのお稽古はすぐ辞めてしまったけれど、お雛祭りと関連して懐かしく思い出される遠い昔のこと。